「難関資格を取って将来は独立を目指している」なんて聞くと、何だか堅実なビジョンのような気がしますよね。でも冷静に考えると、結構なギャンブルなのかもしれません。得られるものよりもリスクの方が圧倒的に大きいように思うのです。
世の中には、人生で成功するための手段として、難関資格の取得を目指している人もいます。難関資格の取得には、一発逆転的なイメージもあるのでしょうかねえ。でも、個人的には、そういう選択はあまりおすすめできません。
その理由は簡単です。確率的に考えると、明らかに割に合わないのです。
資格取得のための勉強には、相当な時間がかかります。その上難関資格だと、勉強しても不合格になる確率も大きいでしょう。合格率が10パーセントを割るような試験だと、何回受験しても受からない可能性だって有ります。
仮に試験に受かっても、仕事に活かすにはまた一苦労です。最近は有名資格の取得者でも、資格を活かした仕事に就くのが難しいという話も聞きますしね。
一方で仮に成功できたとしても、得られるものはそれほど大きなものではありません。今のご時勢、難関資格を取って独立開業したからと言って、年収で何千万円も稼ぐのは難しいでしょう。これらを天秤にかけると、割に合わないと思うのです。
こんなサイトを作っておいてこんなことを書くのもなんですけどね。偽らざる感想です。
もうちょっと具体的な数字を挙げて考えてみよう
以上のことを、もうちょっと具体的な数字を入れて考ええてみましょう。例えばあなたが、社会保険労務士になることを目指したとしましょう。
一説によると、社会保険労務士になるための勉強時間は800時間を越えるのだとか。ということは、1日4時間の勉強をするとしても、半年以上というか1年近く準備に時間がかかる計算です。
しかも、社会保険労務士の合格率は、5%から10%の間で推移しています。ということは、常識的に考えると、1年で合格することは難しいでしょう。
仮に3年で合格するとしても、2,400時間程度の学習時間は確保しないといけないことになります。結構な長時間ですよね。
仮にこの時間を時給1,000円で働いていたとしたら、240万円は稼げた計算です。時給2,000円なら480万円ですね。これだけの機会費用1 をかけてチャレンジしているわけです。
さらに言うと、社会保険労務士を目指すには、教材などにもそれなりのコストはかかるでしょう。資格学校に行けば年間数十万円程度のコストはかかります。
もちろん、これで合格できれば良いのかもしれません。しかし、3年間勉強を続けても、合格できない可能性も大きいのです。こうなってしまうと、はっきり言って、目も当てられないですよね。
資格を取ったからと言って良い仕事があるとは限らない
さらに悪いことに、資格を取ったからと言って、必ずしも経済的に成功できるとは限らないのです。司法書士や税理士の資格をとっても、仕事が見つからずに困っているなんて例は珍しくないでしょう。それに、仮に就職できても、所詮はサラリーマンですから所得の上限は大したことがありません。
資格を使って独立すれば、大きな稼ぎを得ることが出来る可能性もあります。でも、これはこれで、難しい話なんですよね。
独立開業するということは、個人事業主になるということです。ということは、当然、自分で顧客を見つけてくる必要があります。
顧客を見つけるというのは、要するに営業スキルです。これを身に付けるのは資格取得以上に難しいと言えるでしょう。
そもそも自分で顧客を見つけられる人は、資格なんかに頼らなくても良いんですよね。そういう営業スキルがあれば会社に勤めていても給料は良いでしょうから。あるいは何か別の仕事を始めたとしても、商売は上手くいくはずです。
ドライに考える部分も必要です
繰り返しになりますが、確率的に考えると、難関資格を取る事を前提としたライフプランはあまり合理的ではありません。もちろん、難関資格を目指すのが必ずしも悪いとは言いませんけどね。目指すにしても、その道を選ぶことのリスクの大きさは、認識しておくべきでしょう。
現在の仕事の延長線上に資格取得があるというのなら、また話は別ですけどね。あるいは、何か具体的な目標があってその実現のために資格が必要だというのなら、資格取得は必然妥当と思います。
難しい資格を取ればその後の人生が上手くいくというような安易な発想なら、やめておいた方が良いと思うのです。
資格取得を目指していると聞くと堅実な人に見えますけど、実は結構なギャンブラーなんですよね。
- 機会費用:ある生産要素を特定の用途に利用する場合に、それを別の用途に利用したならば得られたであろう利益の最大金額を指し、実際の生産額の費用とする概念。オポチュニティーコスト。 デジタル大辞泉 [↩]
スポンサードリンク
スポンサードリンク
関連した記事を読む
- None Found